今日の日本の木造住宅は、本当に手間をかけられていません。
在来工法の家を構成する部材は、柱でも床でも窓枠でも何でも、工場でプレカットされたもの。現場ではそれを組み立てて、パッと入れるだけです。壁でも、塗り壁だったら1週間から10日はゆうにかかるものを、クロスで4、5日もあれば家中に貼ってしまいます。
もちろん、そうせねばならない諸般の事情はあるわけですが、家づくりに長く関わる者として、今さらながら考えさせられてしまうのです。
プレカット技術などなかった昔の田舎づくりの家は、今日も現役として使われ続けています。伝統構法で建てられた日本家屋は数百年の寿命があるともいわれます。日本が誇る建築技術の粋と言えるでしょう。私たちもまた、一つ一つの工程に職人たちが手間暇をかけ、魂をこめた邸宅をお届けしたいと考えております。
私たち都建設の輸入住宅では、1本の木材料、一枚物の板材が現場に来ます。それを現場で加工して曲面を造り、さらに現場で塗装して取り付けます。塗る前には何度もペーパーをかけ、手触りにも配慮しています。窓枠や窓台は既製品でなく、窓の長さに合わせて切って造ります。巾木やドア枠も、一本一本全て現場塗装、現場施工です。
ですから、かかる手間は、在来の2倍どころではありません。しかし、細部の手作り感というのが、全然違います。そういった作り手のこだわりが、同じ輸入住宅を扱っていても、他社とは全く違うと考えております。
私は、日本の「ものづくり」ならではの良さ、誇りというものは今なお健在だと思っています。そして、輸入住宅においても、海外の商品、建材、ノウハウやデザインを扱ってはいますが、その作り手はあくまでも、メイド・イン・ジャパン、メイド・イン都建設にこだわりたいのです。
これは私自身のプライドとも言えますし、単なる自己満足なのかもしれません。しかし、自己満足できない商品を、人様におすすめし、販売できるでしょうか?
今日、商業ベースばかりで考え、動いている企業は少なくありません。品質を良くしたい、社会を良くしたい、みんなが幸せになってほしい、そんな心の部分が飛んでしまって、お金儲けばかりになっている。そんな今こそ、「本物」を造っていかねばならないと、心に期しております。
私たちの家づくりの本質は、メイド・イン・ジャパン。海外の優れた技術やデザイン、良い商品を導入しながらも、そこに日本人独特の感性を融合すれば、最高の輸入住宅が生まれる。それこそが、まさに私たち都建設が目指すところです。